新感覚コラム『&Artist(アンド アーティスト)』
目黒区に実在するCafeスタジオ「らんすみれ」を舞台に、オーナーの「僕」とアーティストたちが繰り広げる物語、『&Artist』。「らんすみれ」と「僕」はホンモノですが、コラム内のストーリーや写真はフィクションです。ぜひ、この新しい新感覚コラムをお楽しみください。・一覧はこちらから
・第1話 様変わりするCafe
・第2話 一見さんお断りのCafeスタジオ
・第3話 アーティストの卵
・第4話 せめて1枚!
■前回までのお話
鎌倉の美容院で働いている美容師サクラと同僚が、「らんすみれ」へはじめて作品撮りにやってきたものの、なかなかうまくいかない。その様子を見かねて、らんすみれのオーナー「僕」が、本物の現場を見せるよう段取りを組んだ。
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「おはようございます……」
サクラは、まさに蚊の鳴くような声だった。
厨房越しに写ったサクラの表情は、緊張で固まっている。僕のCafeスタジオ「らんすみれ」に初めて足を踏み入れたかの様な “泳ぐ目” は、一体何を感じてるのだろう。
以前サクラが来た時とは全く違う雰囲気。
ここはブティック?サロン?
サクラの目は、用意された衣装に釘付けになり固まっている。
手間ひまかけたであろう丁寧に編み込まれたレース、端の部分には、かつてこのレースを愛した女の子のイニシャルだろうか?オフホワイトの中にひと際眩しい赤の刺繍が可愛らしいポイントとなっている。
そして、当時多くの家庭で大切に織られていたリネンで作られたスカートも、手触りの優しい布へと姿を変えている。ペチコートに使われてる布の “分量” は、明らかに既製服の粋を超えている。また、ちょっとした綻びのリペアまでもが娘を愛した母親の気持ちが感じて愛らしい。
そこまで服に詳しくないサクラにもこのドレスの “一連” が「明らかに普通じゃないモノ」と、感じてる様だ。
そう、これこそまさに本物。
『リアル アンティーク….』
このドレスを着こなすモデル、ドレスアップさせるヘアメイクが現れる。
そして、ビジュアルに残すシューティングが始まる….
衣装だけでも目が眩み “非日常” である事にショックを受けてると言うのに、店の奥にセットされた “色の洪水” がサクラへのショックに追い打ちをかけそうだ。
これがプロの道具。プロの “シューティング” なんだよ。
僕はサクラにそう伝えた。
第6話へつづく。
「Cafe らんすみれ」も「僕」も実在しますが、物語や写真はフィクションです。引き続き、「Cafe らんすみれ」に没頭する「僕」や、作品作りに没頭するアーティストたちの、新感覚コラム『&Artist』をお楽しみください。
企画/tocco,文/kou
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[…] ・第3話 アーティストの卵 ・第4話 せめて1枚! ・第5話 本物に震える ・第6話 動くモデル […]