Soup Stock Tokyoのフードプランナー桑折敦子さんは無類の旅好きだそうです。旅先で出会うあたたかな人々や、彼らと囲んだ料理を「誰かに食べさせたい」という思いが、Soup Stock Tokyoのレシピ作りのエッセンスの一つになっているんだとか。さぁ、11月はスープと旅に出ましょう。
11月最後は、おいしいクラムチャウダーをいただきに、アメリカへ旅しましょう。
クラムチャウダーの「クラム」は二枚貝を意味します。「チャウダー」はフランス語では大鍋という意味があり、英語では牛乳、じゃがいも、ベーコン、クリームなどを入れて煮込んだ具だくさんのスープという意味があります。
チャウダーの語源ははっきりしていないようですが、二枚貝の具だくさんスープであるクラムチャウダーは、アメリカで生まれたスープだと言われています。
ニューイングランドうまれのクラムチャウダー
アメリカは多くの移民で成り立っていて国土も広いため、それぞれの場所で使われている材料や味付け、そして色も違うそうです。
ここで少し歴史をさかのぼってみましょう。
ニューイングランドとは、アメリカのコネチカット州、ニューハンプシャー州、バーモント州、マサチューセッツ州、メイン州、ロードアイランド州の6つの州からなり、マサチューセッツ州にあるボストンがニューイングランドの中心都市です。16世紀にイギリスで入植者が募集されたのがニューイングランドという名前の由来だとか。その16世紀後半から18世紀ごろまで、多くのイギリス人入植者が移住しました。
イギリス人移植者が多かったボストン周辺でうまれたニューイングランド料理は、魚介類を中心とする献立が多く、生クリームを多く使った滑らかな口当たりの白いチャウダー「ニューイングランド風クラムチャウダー」はボストンクラムチャウダーとも呼ばれています。
そして、イタリア人が多かったマンハッタン周辺では、牛乳の代わりにコンソメと水を入れて、トマトを使う赤いチャウダー「マンハッタン風クラムチャウダー」が広まったようです。
日本でクラムチャウダーというと、白い「ニューイングランド風チャウダー」を思い浮かべる人が多いと思います。同じチャウダーでも、色も食材も違うというのは、驚きですね。欲張ってどちらもいただきたくなります。
Soup Stock Tokyoの「ニューイングランド風チャウダー 」
Soup Stock Tokyoのクラムチャウダーは、ニューイングランド風。
原材料に名を連ねる「お米」。一般的にとろみをつけには小麦粉やバターが使われていますが、ニューイングランド風チャウダーには、「お米」が使われているそうです。食後に胃もたれしにくいので、夜食にもおすすめです。スープの中に見える香草は「ディル」。葉にはさわやかな芳香があり、魚とよく合うので「魚のハーブ」とも呼ばれています。
国産のほぐしたホタテの旨みがしっかり詰まったミルクチャウダー。魚介の旨みから作るだし(フュメドポワソン)をベースに仕立てた優しい味わいです。
アメリカの歴史を感じながら、いただきましょう。
【家スープのじかん with Soup Stock Tokyo】
Soup Stock Tokyoが毎月開催している、“食”を起点に「おいしいって何?」を考えるイベント「おいしい教室」のテーマに合わせ、スープの世界をのぞいていく連載です。
➤コンテンツ協力:Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)
「Soup Stock Tokyo」とは、食べるスープをコンセプトにしたスープ専門店。冷凍スープの専門店「家で食べるスープストックトーキョー」では、冷凍スープをフルラインナップでご用意しているほか、オンラインショップでもお手軽に購入することができます。