『私は、これで生きていく』そうなにかを決心したことがある方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
『自分にはこれしかない』そう思う方は、どんな想いでいらっしゃるでしょうか。
どちらにしても、打ち込めることがあるということは、人生で一番幸せなことだと思います。決して大げさではなく。
打ち込めることでも、辛いことや悩み事も伴うことは避けられませんが、好きではないことに時間を捧げてしまうことに比べれば、比較の余地はないということに気づくはずです。
そうはいってもなかなか今の無難な生活から抜け出すことは本当に難しいのですが…。
今回は、悩みながらも『大好きな音楽』の道を突き進んだNovia M.Yukumiさんに、とても心を動かされるお話を伺いました。
■今回お話を伺ったアーティスト
Novia M.Yukumiさん
1990年、埼玉県生まれ。中学から吹奏楽部に入り、サクソフォンを始める。高校2年生の時に1週間、フロリダで現地の学生とワークショップやコンサートを行い、またディズニーワールドでも演奏。
マイケル・ジャクソンのドキュメンタリー映画”This is it”に感銘を受け、渡米を決意。2011年に渡米。ミュージックパフォーマンスアカデミーに入学。モータウンで作詞作曲を手がけていたDee Dee McNeilやジャズピアニストとして有名なBilly Michellなど、有名なミュージシャンの方々に師事し,ジャズを通して歌やサックスを学ぶ。
学校卒業後、Stacey Leeに出会い、彼女にPOPやR&Bのジャンルの歌を学ぶ。また、教会の知り合いの紹介を受け、ジャズサクソフォニストのJessy Jにサクソフォンを師事。現在、R&B・Jazzシンガー、サックスプレイヤーとしてLos Angelesのレストランなどで演奏、活動している。
今年、2016年5月27日にファーストアルバム”Believer”をリリース。
意味もなく涙を流したことも
―なぜ、アメリカで音楽活動をはじめたのでしょうか?
中学、高校時代はクラシック音楽を中心に吹奏楽部でサックスの演奏していました。強豪校だったこともあり、毎日練習に明け暮れていました。
高校2年の夏ごろから、あまりの忙しさにだんだん自分の生きている価値がわからなくなり、意味もなく涙を流したり、友達と死について話すことが増え始めたんです。
(その頃はなんのことかわかりませんでしたが、高校を卒業してから、母親に軽い鬱病だったことを教えられました。)
そんな時に、アメリカのフロリダにいく機会があり、現地の学生や人々と音楽を共有しました。演奏会終了後、ある一人のアメリカ人が私のところへ来て、『とっても良かったよ!君のソロに心を動かされた。』と言ってくださったんです。
今までの苦労が嘘のように喜びに満ち溢れました。音楽をやっていてよかった、と。
しかし、高校卒業後、ぷつんっと糸が切れたように、音楽をする力、音楽に対する熱がなくなりました。そこから1年から2年、音楽をすることを嫌うようになっていました。勉強もまともにしてこなかった私にとって、残っているのは音楽しかない…でも…と悩む日々でした。
そんな時です。マイケル・ジャクソンが亡くなり、彼のドキュメンタリー映画である”This is it”を見に行きました。その映画を観てから、彼のようなミュージシャンになりたい、彼のような歌手になりたいと思ったんです。今では、友人から”夢が大きすぎるよ”とよく言われています(笑)
しかし、彼の音楽スタイルや、あれだけ沢山の人を笑顔にできるミュージシャンはなかなかいないと思ったのです。クラシックの音楽を演奏していた時に、眠っている人を演奏中によく見ていたので特にそう思わされました。
音楽ももちろんですが、彼の音楽に対する真剣な心と、音楽で世界の平和を願い、パフォーマンスをしていることに対し尊敬をしていました。また謙遜な心で人と接することができるミュージシャンであることが本当に素晴らしいと思ったんです。そこでまた、音楽に対する熱意が生まれました。
しかし、その時の私は日本での活動を視野に入れていませんでした。実力主義で、一人の人間として私を見てくれるアメリカで勝負がしたいと思ったんです。
渡米後、英語もまともに喋れなかった私ですが、沢山の方々に助けていただき、発音一つ一つを直してもらいながら、歌の勉強をさせていただきました。
もちろん英語は第二言語なので、うまくいかないことも大変なことも沢山ありましたが、ジャズは基本的にR&BやPOPに比べて、言葉が少ないので、沢山の曲に触れながら、発音や音楽について学ぶことができました。今では、話している時より、歌っている時の方が発音がいいね。とアメリカ人に言われます。(笑)
そして、ここからがさらにすごいのです!!
今アメリカ人が主な教会に毎週行っているのですが、そこのベーシストがなんと、マイケル・ジャクソンの”This is it”のバックで演奏をしていた方だったのです。
初めてそのことを聞いた時は、本当にびっくりしましたし、あの映画を見てからアメリカにくることを決意して、その3年後にまさか映画に出ていた方と、マイケルのバックで演奏していた方と毎週共に賛美をできるとは思ってもいませんでした。ハレルヤ!ですね。
またその他にも、ドラマーの方がスティービー・ワンダーのバックでやっていた方だったりと本当にアメリカにいるからこそ出会える方々がいて、本当に恵まれているな~。と今でも日々喜びに満ちて溢れています。
今回リリースするNovia M.Yukumiのファーストアルバム”Believer”でも、そのベーシストである、Alex Al やドラマーのDonnell Spencer Jr.と共に演奏しています。
また、プロデューサーは教会のオルガンを担当しているJuan Tyusにお願いし、ミキシングやマスタリング、オーバーダイビングはアメリカで活躍されている日本人のHirokazu Kobayashiさんにお願いしました。ぜひ聴いてみてください!
音楽の世界が汚いものであってはいけない
―音楽に没頭して、良かったことやその逆はありますか?
音楽に没頭していると、良くも悪くも、ふと、音楽とはそもそも何なのか、歌とは何なのかと考えたことがありますね。私は音楽で生きていっていいのだろうかと悩んだこともあります。
実際に、勉強やスポーツと違って、頑張ったらその分の点数が出るという世界ではないことを痛感したことがあります。審査員の感情だったり、お金が関わっていることもある、などの話を聞いたことがあるぐらいです…。
なんて汚い世界なんだろう。誰を信用すればいいんだろう。純粋に音楽を楽しむだけではだめなのだろうか。と。
今、アメリカにいて、教会で賛美をしていると、音楽とは何か、音楽の原点が何であるかをよく理解できます。そして、音楽の世界が汚いものであってはいけないと思わされるんです。そう気づかされて、私のギフトが音楽であることを知って、音楽をし続けられることは本当に恵みであり、喜びです。
また、音楽は世界中の人とコミュニケーションを生むことができるツールだと考えています。どの国でも楽譜は同じ記号が使われていて、例えその国の言葉を話せなくても1つの楽曲をみんなで共有することができるんです。世界中すべての人が話せる唯一の共通言語です!
歌はどうでしょうか?私は言葉には楽器では伝えきれないパワーがあると思っています。よく、家族や恋人同士で、『言わなくてもわかるでしょう?』ということがあります(笑)前の私がそうだったんです。
言葉ではなくて、行動でわかってほしい!なんで私の気持ちをわかってくれないの?と思っていて、でも全然伝わらなくて。。。大切なこと、伝えなくてはならないことは、言葉にして話すことも大切なんです。
歌は、話し下手な私にとって、気持ちを伝えることができる大切なものになりました。歌うことを決意してから、このアメリカに来て、私のやりたい音楽に協力してくれる人に出会い、CDを作ることができる機会や環境が与えられたことに本当に感謝しています。
生活をしていて、音のない世界は想像もつかないですよね。スーパーに行っても、映画を見ていても、テレビを見ていても、必ず何かしらの音楽や音が聞こえてくるはずです。
人にとって音楽や音というのは水と同じように必要不可欠なものの一つであると私は思っています。そう思った時、私は音楽を作る者、演奏する者で良かった、私の道はこれで良かったんだと思うんです。
そしてこれからも、音楽で私にできることをやっていこうと、この道を進むことに躊躇はありません。
英語で歌うことに意味があると信じて
―今後チャレンジしたいことを教えてください。
日本人としてアメリカで演奏、活動し、沢山の国の人と音楽を通してコミュニケーションをとっていきたいと思っています。
アメリカ人でもなければ、アメリカで生まれているわけでもない私が、英語で歌うことに意味があると信じて。私にしかできないことを探し、求め続けながら、人々と喜びをシェアできるようなミュージシャンになりたいです。
ーYukumiさん、ありがとうございました!たくさんの奇跡が起きたということでしたが、Yukumiさんが音楽で生きていくことを決断したからこそ、出逢えた人々だと思います。
今回のお話をお伺いして、たくさんの勇気をもらいました!今後の活躍、期待しています!編集長tocco
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