フラワースタイリストのAnnaさんがアレンジをしたお花を、コラムとともにお送りいたします。
NYとロンドンのフラワーショップでご活躍されていたAnnaさんが、それぞれの国のアレンジメントスタイルの違いなどを教えてくれました。
はっきりとした違いがあってとても興味深いです!ぜひ、こもって読んでみてくださいね。
今週は秋色カラーのアレンジメントです。(Timez編集部)
秋色カラーのアレンジメント
使用花材
- シンビジウムオーキッド
- ローズ
- エリンジューム
- 紫陽花(Kiwi)
- ヤツデの葉
- ユーカリ+実(ポポラス)
このアレンジメントはNYのフラワーショップで店頭ディスプレー様に作ったものです。皆さんはどの様なデザインがお好みですか?
ナチュラルで自然を活かした風合いを好むロンドンとは異なって、NYではビビットな色合いの、ダイナミックな、オリジナリティー溢れるデザインが好まれます。どこにでもありふれた物ではなく、独創的な物… – 時に奇抜な物も含まれて – アートを愛する街ならでは!と感じる瞬間が多くあります。
ローズ・紫陽花・ラン・ピオニー・チュベローズ(チュバローズ)など、ボリュームのあって色彩豊かなお花はニューヨーカーのお気に入りですが、芳香性の強いものとなるともっと、ぐっと存在価値が上がります。
お花はただ活けるだけのものではなく、目で見て、香りを楽しみ、手で触感を確かめて、様々な楽しみ方があります。
マンハッタンのちょうど真ん中に “フラワーインダストリー” といって、フラワーマーケットが軒を連ねる通りがあります。
フローリストや多方面のアーティストの方々等が早朝から買い出しに来るのですが、立地が良いだけにいわゆる市場とは少し異なっていて夕方まで開いているお店も多くあります。
日本と違って特別な免許が無くても購入は出来るお店もあるので、近くに行った際には是非!遊びに行ってみて下さい。
そのストリートの中央に存在するローズ専門店、もう失神しそう!なくらいの素敵な香りにつつまれた… お店があります。- 天国はきっとこうゆう香りに包まれているんだろうな –
フローリスト達が無数のバラの中に頭を近づけて必死に香りを嗅ぎまわり、お気に入りのローズを探している姿はまさに “This is NY” といったアートそのものの様に見えます。
NYとロンドン、好みの違い
人それぞれ好みがある様に、国民性やその国ならではのお花のメッセージ性などで、好まれるスタイルや種類が変わる事はとても興味深く感じます。
例えば、写真のアレンジメントのオレンジ色のシンビジウムオーキッドですが、ロンドンではペタル(花びら)を一枚づつわざと手で開いて、ピンっと満開に見える様にして使用する事があります。
このタイプのオーキッドは自然の状態のままだと、一見少しくたっとして元気が無さそうに捉えられる事があるんです。実際はただそう見えるだけなんです なので、ペタル(花びら)をピンっとしてフレッシュでゴージャスに見せるのです。
一方NYではあまりにそうさせてしまうと、すぐに咲ききってしまって、自宅に持ち帰っても長持ちしないんじゃないかなと思われてしまう事があります。
実際、持ちは変わらないのですが、ビジュアルを大切にするアレンジメントにとって、プレゼンテーションの仕方はとても重要。ですからその土地ならではの好みに合わせる事で、お客様の満足度も変わってきますよね。
NYスタイル
次に少し分かりづらいですが、アレンジ下部の花瓶の中を見てみて下さい。
このアレンジメントはドームシェイプのブーケ型なので、本来であればガラスの花瓶の中からハンドル部分のステム(茎)部分が見えていますが、ハランの葉っぱで中が見えない様になっているのが分かりますか?
これはNYスタイルなんです。このブーケの主役はアレンジされている上部であるため、ステムが花瓶から見えていると、それはスタイリッシュでは無くなってしまうからなんです。美しいアートな物(お花の部分)は、みんなの目に映る様にそのままに、不要な部分(ステム・茎)は見えない様に配慮する…This is NY, 美に対する考え方も徹底されています。
一方ロンドンでは、自然なままの状態を美しいと考える事も多く、ステムがスパイラルになっている形状を敢えてガラスの花瓶から見える様にします…これはアレンジメントそのものの全てを味合う為の粋な心意気です。
お花を楽しむ瞬間は、目で見て・香りを楽しみ・季節を感じ・お花の意味を受け取り…様々ですが、私は ”お花がここにある” という気持ちになれる事自体が、お花を楽しめる瞬間だと思います。
そう思える事で、わくわく感じて、ずっと眺めていたくなったり、ほころんだり、人の気分を高揚させてくれる…お花にはそういう大きなパワーがあると思います。
是非お花屋さんに立ち寄って、お花に触れてみてください。
お気に入りの1輪が見つかりますように。
■写真・コラム:CARLA(カーラ) Anna Kitano
幼少期より自宅のあったアメリカ/LAを中心として様々な国の文化/世界観や空間装飾に触れながら感性を養った。書籍出版/個展等を行うシルクフラワーアーティストの母の影響もあり、客室乗務員としての勤務を始めてからフレッシュフラワーアレンジメントの世界へ。お花単体ではなく、テーブル上のコーディネートをトータルで彩り空間を楽しむというプレゼンテーションスタイルを大切にしている。
イギリス/ニューヨークに渡航。ロンドンに本店を置き、ロンドンオリンピックのメダリストブーケを作成する等で世界的に有名なJANE PACKERでの勤務を通して経験を積む。現在はイベント等のフラワー装飾/イベントレッスン等を開催しながらエアラインスクール講師としても活動中。
・取得資格等
LE CADEAU/Basic course・Advanced Course,JANE PACKER FLOWER SCHOOL LONDON/Career Course Certificate, Briller/Table Coordinate Basic Lesson,SENSE/Table Coordinate Certificate,Official instructor,Salon de M /Junior Tea Adviser