寒い冬、体を温める食材といえば生姜。今回はそんな生姜を使ったスープをご紹介します。
Soup Stock Tokyoの『生姜入り和風スープ』は鶏、昆布、干し椎茸のだしのきいた和風スープに玉葱、白葱、キャベツ、生姜、しいたけ、人参、ごぼうが入った滋養味溢れる一品。
だしの旨味と生姜香るとろみのあるスープは、ぽかぽか、じんわり身体に沁み入る…風味豊かな味わいです。
鶏×昆布×干し椎茸のそれぞれのだしを掛け合わせることによって、旨味がさらに引き立ち、相乗効果によって風味が格段と増しています。また、押し麦は栄養価が高く、ぷちぷちとした食感で腹持ちも良い食材です。食物繊維を多く含んでいるのでスープで、手軽に摂取できるところも嬉しいですね。
このスープは具材感があり、十分食べ応えがありますが、アレンジとして、お餅をカットして加えると具がお餅と程良く絡み、主食としてもお楽しみいただけます。
また、おにぎりとも相性抜群!アクセントの生姜の爽やかな香味がピリリと心地良く口中に広がり、身体が喜び、元気になれるそんな一杯です。
意外と知らない『だしの歴史』
さて、今回は私たちの生活に身近なのに意外と知らない『だしの歴史』についてお話しましょう。
様々な文献によると『だし』は室町時代から存在していました。北海道で採れた昆布を京都まで運び、精進料理の味付けに『昆布だし』が使われたのが最初だと言われています。主に貴族たちの有識料理(朝廷や公家、幕末のトップクラスが楽しんだ御所風料理)に使われていました。それだけ、貴重で庶民の手にすることが難しい時代でした。
その後、『かつお節だし』は江戸中期ごろ発展していきました。煮たかつおを天日干しし、火熱で乾かす焙乾法が主流でしたが、それ以降はかつおを燻煙する燻乾法が開発されました。
燻煙加工は甚太郎という漁師が1674年に現在の高知県土佐市で初めて行ったと伝えられています。また、『かつお節』は武士の兵糧食として欠かせないもので、『勝男武士』となぞらえ、その縁起の良さから日清・日露戦争でも扱われていました。
ところで『かつお節』は結婚式の引き出物の定番となっていますが、理由をご存知ですか?実は、『かつお節』は2つのパーツに分かれており、背側を(雄節)、腹側を(雌節)と呼ばれています。この雄節、雌節が一組、一対になることから夫婦円満をイメージできるということや、『鰹夫婦節=かつおぶし』の語呂合わせから祝事に用いられているようです。面白いですね。
その他、『煮干だし』は、江戸中期のころから庶民の間で使われるようになりました。まだまだ当時はかつお節はお正月やハレの日のもので、普段は煮干や雑節(宗田節、さば節など)が利用されていたようです。
18世紀以降、西日本を中心に煮干がかつお節の代用品として扱われるようになり、東日本で煮干だしが普及したのは、明治になってからだといわれています。意外と歴史は古くありません。
2013年には『和食』がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、こういった日本の先人の知恵や工夫が、現在に継承され、私たちの食文化を豊かにし、大きな影響を与えてくれました。
和食の原点である『だし』はまさに日本の味!これからも後世に引き継がれていくであろう、素晴らしい日本の財産です。
最後に。
この写真は、今月の「出汁で暮らしを整える」をテーマにしたおいしい教室のひとコマ。
スープストックトーキョーの皆さんと参加者のみなさんで、和気あいあいとお話をしながら料理を楽しんでいらっしゃいました。
スープストックトーキョーのフードコーディネーターである桑折さんのお話は詳しくてわかりやすく、参加者のみなさんはよくメモを取っていらっしゃいます。スタッフの皆さんはとても気さくで優しくて、和やかな雰囲気が心地よい時間なんです♪
来月も開催するそうなので、スープが好きな方はもちろん、お料理のことをもっと知りたい!という方はぜひチェックしてみてくださいね!
文/cloud9
【家スープのじかん with Soup Stock Tokyo】
Soup Stock Tokyoが毎月開催している、“食”を起点に「おいしいって何?」を考えるイベント「おいしい教室」のテーマに合わせ、スープの世界をのぞいていく連載です。
➤コンテンツ協力:Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)
「Soup Stock Tokyo」とは、食べるスープをコンセプトにしたスープ専門店。冷凍スープの専門店「家で食べるスープストックトーキョー」では、冷凍スープをフルラインナップでご用意しているほか、オンラインショップでもお手軽に購入することができます。