先日ハワイの厳粛な教会で、ごく身近な親族方のみで執り行われた親友の挙式に参列させてもらいました。胸が高鳴り熱くとても熱く、こみ上げる物が抑えきれませんでした。
彼女は本当に誰よりも輝いて美しく、この様な感情をもたらしてくれ、言葉にならない程の美しい挙式は一生忘れる事の出来ないものになりました。今回は花嫁が頭に乗せる花冠にフォーカスを当て、帰りの機内でこの話を書く事にしました。
花冠
使用しているお花
- 紫陽花(fabulous blue)
- スプレーローズ(cream gravcia)
- ユーカリ(cinerea)
- アイビー
- ベリーアイビーの実
パールビーズ
Circlet(サークレット-花冠)はウェディングの時にヘッドピースとして使うだけではなく、ファッションの一部として取り入れられる事も増えています。
実は花冠とは、花嫁さんがブーケを持つよりも古い歴史を持っていると言われていて、200年以上前からヨーロッパで事が始まったそうです。当時もウェデイングだけではなく、お祝い事など特別なおめかしの時にもつけていたそうで、現在のファション感覚と少し似ているかもしれません。
花冠の由来は、円を描く様なリング型になっている事から”愛と絆の永遠の幸せ”の象徴とされ、愛や幸せをもたらす花材を使用して、植物のもつ意味も大切に花嫁に伝えるメッセージ性のある物なんです。
花嫁の友人や家族が、お花の持つ本来の意味やパワーを用いてお祝いの気持ちを伝えるなんて、心にぐっと響くロマンチックなストーリーですよね。
まず今回使用している紫陽花は、鮮やかなブルーですが花嫁さんがブルーを身にまとうと幸せになれるというエピソードをご存知でしょうか。
こちらはSomething four(サムシングフォー)と言う習慣から来ています。
- Something Old(何かひとつ古い物)
- Something New(何かひとつ新しいもの)
- Something Borrowed(何かひとつ借りたもの)
- Something Blue(何かひとつ青いもの)
この4つを身につけて結婚式を行うと永遠に幸せになれると言われている欧米、ヨーロッパでの言い伝えです。花びらの様に見えるものは葉が変形した學(がく)で、土壌によって咲く色が変わるという”移り気”等の花言葉を持つ興味深いお花です。
6月がベストシーズンではありますが秋色紫陽花など、一年中楽しむ事はできます。
日本では紫陽花は風情のある粋なお花の様な感覚ですが、ボリュームのあるヘッドがゴージャスで繊細に見えると海外では大!人気なんです。国が変われば、好まれる色や感覚も異なるなんて凄く面白いですよね。
次に、スプレーローズは淡いサーモンピンクで全体のバランスを整えますが、ローズは勿論”愛の象徴”ですね。今回のローズは芳香はありませんが、本来”バラの香りは女性の体に良い効果をもたらす”最高級の香りとされています。
緑の葉ものは二種類、丸い小さめのユーカリともう少し濃いめのアイビーです。緑の実ものはアイビーの実で、日本では多少珍しさはあるかもしれませんが、特にロンドンではBerried Ivy(ベリードアイビー)といって、自然の風味をそのまま感じられると大変人気の高いものでした。アイビーはつたが続く事から永遠の象徴とされています。
花冠の作り方
こちらの花冠は、フレッシュフラワーを作って制作したものです。元々一本の茎から枝分かれして咲いているごく一般的なお花を想像してみてください。例えば、紫陽花の茎は一本ですが数えきれない量の花びらが枝分かれして形成されてますよね?
それを一つづつカットしていき、そのカットしたものに一本ずつワイヤーをつけて(茎に見立てる)、あたかも一輪の花として咲いていたかの様にしていくんです。この作業…途方もなく時間がかかるんです。
次に、これらの物を、今度は花冠の輪っか状に一本づつ編み込んでいく作業です。結婚式で花冠のオーダーが入ると複数名で作業にあたるくらい時間のかかる物なのですが、完成した後の爽快感は言葉では言い表せないほどです。自分の作った物が、一生で一回の晴れ舞台に出席する…考えただけで感動してしまいます。
個人的には、かっちりしたアップスタイルのヘアアレンジよりもダウンスタイルに合うと思います。
特に海外ではChunky(チャンキー-ずんぐりした)スタイルと言って、太めのぽってりした物が主流で、日本でも同じく太めの物が流行りのスタイルです。ドレスや髪型、花嫁さんの雰囲気によっても大きく異なるので、流行にとらわれずに自分にあったお気に入りのスタイルが見つけられるといいですね。
■写真・コラム:CARLA(カーラ) Anna Kitano
幼少期より自宅のあったアメリカ/LAを中心として様々な国の文化/世界観や空間装飾に触れながら感性を養った。書籍出版/個展等を行うシルクフラワーアーティストの母の影響もあり、客室乗務員としての勤務を始めてからフレッシュフラワーアレンジメントの世界へ。お花単体ではなく、テーブル上のコーディネートをトータルで彩り空間を楽しむというプレゼンテーションスタイルを大切にしている。
イギリス/ニューヨークに渡航。ロンドンに本店を置き、ロンドンオリンピックのメダリストブーケを作成する等で世界的に有名なJANE PACKERでの勤務を通して経験を積む。現在はイベント等のフラワー装飾/イベントレッスン等を開催しながらエアラインスクール講師としても活動中。
・取得資格等
LE CADEAU/Basic course・Advanced Course,JANE PACKER FLOWER SCHOOL LONDON/Career Course Certificate, Briller/Table Coordinate Basic Lesson,SENSE/Table Coordinate Certificate,Official instructor,Salon de M /Junior Tea Adviser