まず最初に今回の熊本地震の被害に合われた方々、九州地方にお住いの方々。まだまだ大変な時間を過ごされていると思います。心よりお見舞い申しあげます。
コラムも多少自粛していたのですが、せっかくこのような機会をいただいているなかで、少しでも楽しみにしていただいている方や娯楽として少しでも楽しんでいただけたなら、と思い再開しようと思います。
私個人にできることは非常に少ないのですが、何かが届きますように。
今回はヴィンテージと何故何故クン
何故何故クンって何よ?ヴィンテージとなんかカンケ―あんのかよ!と申されますと、、、、
あんまないです。笑
だけども!疑問を持つという事は、モノづくりやヴィンテージへの見解を広げるためにはとても重要だと思っているのだ。何にでも興味を持ち、疑問を持つ。そんな野良犬の生き様。そんなお話なのだ。
「アイディアで必要なものは想像力と疑問」ではないかと考えている。
私は作品を作ったり、リノベーションのプランなどを考えるとき、とにかく想像をする。
先ず、お客様とディスカッションして行動や、好みを踏まえて想像する。ひとしきり想像に飽きた頃、想像結果からプランニングするのだ。
例えば家具なんかは西海岸風とか言われると、西海岸の昔の風景なんかを想像したりして、それから、波風にさらされたのかな? どういう風に使われてきたのかな? という事を想像しながら作成するわけである。
そうした方がリアリティが出ると信じている。完成形が必ずしも想像通りにいくとは限らないのだが、そこは想像を捻じ曲げて完成形に合わすようにしている。笑
ここからが肝心な所である。
それらの資料なんかが欲しいとき、今は何かと簡単にネットで調べられる。とても重宝しているのだが、勘違いしてはいけないのは簡単に経験した気になってはいけないことだ。
手軽に調べられるゆえにその先の肝心なところまでたどり着かなかったり、そもそもその情報の信ぴょう性を疑うことをやめてしまうことが多い。
安易な情報を鵜呑みにすると、何とも偽物くさい雰囲気の出来上がることがある。そーいうのよくみたことありません?せっかくなら、ばっちり本物を作りたいじゃない?
経験することが不可能な事柄はは仕方ないが、なるべく自分で経験したり苦労をしたり、一生懸命調べないとどーも信じられないし、忘れる。
私のリスペクト、岸部露伴先生のようにクモの体液をなめろ!まではいかないが、そういう生の情報を経験としてストックしておきたい、というのが私の考えだ。
昔々
今より便利でない時代、幼少期に一つの疑問を持ってしまった時の話。
小学5年生くらいの話だったと思う。 私の実家のそばに流れている境川というきったない川があるのだが、この川についてどこかで聞いたのだ。
この川は、江の島(海)につながっているんだと。
川は海へとつながる。おそらく授業ですでに習っていたのだが、本当なのか?大人が何か、軍事的な何かで真実を隠しているのではあるまいか?とても調べてみたくなった。くだらないと思うか?
今でこそ当たり前だと思うのだが、行動範囲が隣の小学校くらいのもんだった子供には真実を知るすべは少なかったのだ、、、。何故何故クンの探究心がくすぐられたのだ。
どーして調べればよいのだ。考えてみた。そうだ!その時は目前に控えるは夏休み!時間ならあるぜ、おおいに叫べ―!!
イカダだ!
よし!!イカダで下ろう!!笑
イカダを作って海まで下って、本当につながっているのか?調べることにした。まさに気持ちは町田のコロンブスもしくは伊能忠敬あたりである。
何故イカダだったのか?
おそらく十五少年漂流記あたりを授業で読んで、軽く影響受けたのだと推測される。笑
早速、イカレタ同志2名を巻き込み、イカダづくりをスタートさせた。材料は、すでに大工の息子として奴隷のように働かされていた私は、何食わぬ顔で材木屋から3寸角という柱を、夜中に数本お借りして、(後日、こっぴどく怒られまして、ちゃんとお支払しました。)
友人たちと、ガンバの大冒険で見たイカダを参考に、学習帳に書いた図面(マンガ)をもとに作成した。長さを切り、番線で縛り、釘で固定。 そして図面通りに旗を立てるマストとオール的な物を作り完成した!!
3人乗りのイカスシップの完成だ!!まってろ、ENOSIMA!!
寝袋と数日分のおやつ(食料という概念はなかった)を備え、家族には江の島に行ってきます。と一言だけ残し、旅が始まったのである。
準備をすましたところで、ついにイカダを川へと着水!!浮いた!! なんと浮いた!!これだけでもう江の島に行ったくらい達成感であった。笑
そして意気揚々と出発!!意外にいい感じですすむ、すすむ。ひとしきり興奮した後は、何日かかるかわからない旅に備え寝ることにした。普通なら一人見張りを置いて交代で寝るのだろうが、そこは子供である、全員で寝た。 笑
どれくらい寝たのだろうか?出発は昼間、そして起きた時はどうやら早朝のようだった。もう着いちゃったかな?なんて思って周りを見渡すと……
止まっていた。笑
実は寝る前に10キロ程進んでいたのだが、寝た後まもなくその辺り、大和という所から急に浅瀬になっていたのだ。
何をやっても動かなかった。
旅は2日目にして残り20キロ程を残し船は座礁。海までつながっているか?検証ならず笑
やむを得ず岸にイカダを寄せ、草むらにオブジェとして飾り、歩いて半日くらいかけて帰宅。帰宅すると、当然だが、全員親にこの世の物とは思えないほどこっぴどく怒られた。
それでも何かを成し遂げたという充実感は半端なかった。成し遂げてはいないのだが。笑
その地獄の代償として得た経験と事実は以下の通りだ。
1.イカダは浮く。
2.大和あたりから川は浅い。
3.意外と寝れる。
4.親に黙っていくととても怒られる。
以上である。 笑
その後・・・
その後、大人になり、境川は海へとつながっていたことは検証できた。この経験は素晴らしいかどうかはわからないが、よかったのだと思う。まあ、その後一度も経験を生かしイカダを作ったことはないのだが、酒のつまみくらいにはなっている。
例は極端だったが、疑問の目を持つという事はアイディア、発見の種であり、何かを作り出すには欠かせない物である。と思うのだ。
有名な17世紀ローマの哲学者 サンペクト・デクトラスはこういった。
“疑問を疑問のままでいることは人生の一部を見逃しているのと同じだ。そうしている人間が一番の疑問である。“
嘘だ。嘘っぱちだ。
私がさっき考えた言葉だ。すいません。
つまり、「根堀り 葉掘り 聞きまわる」 根掘り葉掘り…ってよォーー
「根を掘る」ってのはわかる….根っこは土の中に埋まってるからな…スゲーよくわかる。だが「葉掘り」って部分はどういうことだああ~~~っ!?葉っぱ掘ったら裏側へやぶれちまうじゃねーか!
こういう気持ちを持てっつーことかな。知る人ぞ知る、有名な疑問のセリフ。笑
皆さんも大人になると忘れかける 何故何故クンの気持ちを思い出すと、なんか発見があるかもしんねーですよ。
この記事は、建築家・大工Chuckie(チャッキー)さんに、お洒落&ヴィンテージ風にアレンジする家具や、リフォーム、DIYなどのコツやポイントなどをお伺いする連載、TiMEZ Vintageです。
■文・イラスト/chuckie(チャッキー)
建築家。大工
大工の家に生まれ育ち、何も買い与えられなかった為、自分で作るしかないと幼少の頃からしょうがなく創作。現在に至る。建築、リノベーション、リフォームを行う工務店stones、 家具、雑貨等のデザイン施工を行うCOARSE THREAD US 同代表。ヴィンテージは何でも好き。特に音楽、モーターサイクル、ファッション等に造詣が深い。自称「スラム街のアインシュタイン」好きな言葉は「だが断る」。・詳しい作品紹介、日常は筆者Instagramへ
・質問、施工お見積り等はstones.ishii[アット]gmail.comまで