建築家・大工Chuckie(チャッキー)さんに、お洒落&ヴィンテージ風にアレンジする家具や、リフォーム、DIYなどのコツやポイントなどをお伺いする連載、TiMEZ Vintage。
Chuckieさんの記事がアップされると、ChuckieさんのInstagramでは毎回大盛り上がり!クッキーさんというアダ名がついていたり?、楽しいお話が繰り広げられていますので、ぜひ文末のリンクからそちらもご覧くださいね♪ 今回は、ChuckieさんがVintageに没頭するきっかけとなったお話を伺います。
「ヴィンテージと私」
なんか小学生の作文の題名みたいだが 笑
今日はヴィンテージだの、アンティークだの、叫ぶ詩人の私の「なぜそうなったか?」そんな旅の始まりの話をしよう。
この話によって共感してくれる方や、もっとヴィンテージの良さに興味を持っていただけたらと思っているので、お付き合いいただきたい。
CHAPTER.1:覚醒編
先ず、なぜ古い物が好きになったかってところだ。
私の家はそもそも父が大工だったので、物心ついた時からやたら道具に囲まれていた。加工場なんかもスゲー道具であふれていた。
みなさんご存知かと思うが、道具は高い。素晴らしい物は、特にいい仕事をするのだが、高く、そうそう買えるものではない。昔は、今のように多種多様なものもなかったので特に高かったのだろう。
だから、道具を大事にするんです。キレイにはしないんだけども 笑
どの道具も、いや、どのって事はないが、笑 道具はとても大切にされていた。大事に使い込んだ道具たちは、無数の傷がつき汚い。だがそれに伴った風格が宿り、一つ一つがまるで歴戦の勇者のようだった。
それは言い過ぎだが 笑。そこに、幼き心ながら、かっこよさを感じた。その、傷や汚れに歴史があり存在感を放つ…..。
例えば、ズタボロに傷ついた薄汚れた兵士が、戦場で朝日を遠くに見ながら、一服しているイメージ 笑。そんな人が平和を語りだしたら、、、リアリティが違う。ネクタイをきれいに締めた、白~いおじさんが、戦争ダメヨ!!なんて言ったところで誰に響く!!
……..えー,だいぶ話はそれましたが 笑
そんなストーリーの感じるヴィンテージ感にかっこよさを感じ、新品のきれーな道具を見るとこの若造、早く汚くなんねーかなー?というちょいと歪んだ思考が形成されたわけです。
CHAPTER2:青春狂想曲
そんなこんなで順当にレールから外れながらも、適当に成長してきた私。
そこで私は誰もが思う「きっとギターが弾ければ、俺はウハウハのモテモテだ症候群」にかかり、音楽なんかやり始め(その後特にこの病気は迷信であることを立証。学会提出)若気の至りでド派手なハードロック、ヘビーメタルで牙をむく中学時代 笑
その後出会うは、ガンズ&ローゼス、レッドホットチリペッパーズ、ローリングストーンズあたりのチンピラ共。
汚ねーかっこに、たばこを咥え、型破りでテキトーに楽器を掻き鳴らす姿は、5歳までおかっぱで過ごした、町田のアイドルの野性を引き出すには充分すぎたのだった。
聴けば聴くほど、彼らのルーツが知りたくなって。そこからはズブズブとロック、ロックンロール、ブルース、ジャズ、ファンクなんかの60’s~70’sあたりを好んで聴くようになった。
そして、その辺りの年代の映像や資料見ていくと、その時代の背景、スタイル、ファッションなんかが好きになり、それを取り込まないと、本物になれない!! と読み違え 笑、古着ブームも後押しして、どんどんのめり込んでいった。
そのころの私ときたら、遠山の金さんくらいに広がったベルボトムに身を包み、バイクというにはおこがましい、鉄の塊にまたがってこれで俺はモテモテのウハウハだぜ!! と思っていたが、やはり群がってきたのは、小汚い野良犬のようなチンピラばかりだった。
この辺りは語りだすと長いので、またの機会にするがこれら一連の流れも、ヴィンテージへのきっかけになったとも言えるし、私の人生を大きく変えたといっても過言ではないだろう。
音楽等に出会わなければ、今日の私は無いといえるが、出会わなければ良かったのに…..とも、しょっちゅう思っている。笑。
CHAPTER3:しょうがなく創作編
そんなこんなで古着や、ヴィンテージのかっこいい物が欲しかった私だが、とにかく高くて手の出ないものが多かった。そこで、何とか自分でかっこよく作れないかなあ?と考えるようになった。
イカしたブーツは買えないので、安全靴を買い、削ってトゥの鉄を出し、やすりで削り、わざとぶつけて歩ってヴィンテージ風にしたり、バイクのタンクの塗装を全て剥離し、わざと錆を出してから、クリアーを吹きつけコーティングしてヴィンテージ感を出してみたり…….。
そんな作業をあれもこれもと、やり始めた。結局、今ともう何も変わらねーじゃねーか。ちくしょう。 笑。
そんなこんなで自然と古い物やヴィンテージ感が好きになったのである。
CHAPTER4:まだ旅の途中編
まあ、大体において振り返ればヴィンテージ好きのみなさんは同じようなものだろう。
ヴィンテージやアンティークには現代にはない色合い、デザイン、使い込まれた雰囲気などが、みなさんの心に刺さるのではないだろうか?そしてそれらは必ず、その年代の時代背景や製作者の意図、意向が必ず反映している。必ず歴史が刻まれているはずだ。
それを勉強したり、研究したり、なりきって、ストーリーを考えながら創作すると新しく作ったヴィンテージが、ぐんとリアルになると思っている。古着が高すぎて買えなかった。だから作っちまおう。結果、古着より着替えなく使え、丈夫だったりした。
そこが、私の求めるところであり、原点だったりするのだろう。そして、歴戦の兵士のような、説得力のある作品を作りたい。
全てはつながっているのである。
つまりさー。
結局サー。
かっこよく締めようとしてるけどさー。
汚くてボロいもんが好きなんでしょー。
そう言われると、それはそれでごもっともである。
これからも探求は続く。
と共に、自分もガッツリエイジング。
……泣ける!!
■文・イラスト/chuckie(チャッキー)
建築家。大工
大工の家に生まれ育ち、何も買い与えられなかった為、自分で作るしかないと幼少の頃からしょうがなく創作。現在に至る。建築、リノベーション、リフォームを行う工務店stones、 家具、雑貨等のデザイン施工を行うCOARSE THREAD US 同代表。ヴィンテージは何でも好き。特に音楽、モーターサイクル、ファッション等に造詣が深い。自称「スラム街のアインシュタイン」好きな言葉は「だが断る」。・詳しい作品紹介、日常は筆者Instagramへ
・質問、施工お見積り等はstones.ishii[アット]gmail.comまで