TiMEZ Interview
クリエイターやアーティスト、CEOなど、何かに没頭している人、夢中になっている人をインタビューしていく企画【TiMEZ Interview】。彼ら、彼女らは、なぜそれに没頭し、何を得たのか。そして、これから何にチャレンジしていくのか、語ってもらった。
将来何かになりたいと思って、学校へ通い夢を叶えていくというステップをたどる方もいらっしゃると思いますが、生まれながらに育った家に人生を左右されることってありますよね。
小さいころから家族が営んでいる商売に慣れ親しむと、それが自分のやりたいことなのかどうかわからないままオトナになることもあると思います。そうなった時に「どう自分と向き合うといいのか?」というヒントになるお話を、福岡県で美容師をされている、カラーの申し子 宇井一八さんにお伺いしました。
美容師一家で育った宇井さん
ー美容師をはじめたきっかけを教えて下さい。
1983年に生まれ、美容師家系の長男として育てられました。
学校が終われば家の手伝いで床に落ちた髪を掃除したり、洗濯したりの日々でまともに友達遊んだりは、なかなかできなかったですね。もちろん土日も強制的に手伝いでした(笑)
徹底的に美容師になるべく人間として親、兄弟から教育を受けてました。そして、いつの間にか美容師になり目的も無くただただ働く毎日でした。今思えば忙しい自分に酔ってる部分があったと思います。「こんなに頑張ってる自分は、偉い!」みたいな感じですかね。
20代の中盤に差し掛かり、もともと働いていた福岡の都心部からちょっと離れた地方のサロンに務めるようになりました。言い方は良くないですが俗に言う「田舎」です。それが僕の転機となりました。
最初は、市内で働いているのにわざわざ田舎に行くのがどうしても合いませんでした。仕事が終わると毎日、市内に帰っていた記憶があります。それでも全く知らない土地で友達がができたりしているうちに今の町が好きになりました。友人には、本当に恵まれていたと思います。
スタイリストにもなるとお客様からも評価されると共に、自然と美容師の世界に深くのめり込んでいきました。今は、女性を美しく元気にできるように、そして自分らしさというスパイスを忘れないように働いています。
ー「カラーの申し子」というキャッチコピーの由来を教えていただけますか?
この美容という業界で生き抜くために、オールラウンドで売れるには、とても難しいんです。
セルフブランディングをする上で何か特化した武器がないとダメだと感じ、その時に自分の武器は何かと考えたら、アシスタント時代に手がボロボロになるくらいしたカラーだったんです!
全体的に見ると市販のカラーをされる方が7割なんですよね。でもカラーって「色彩学」や「似合わせ」、「お客さまの好み」、「その方の日常の仕事や生活にどれだけフィットしているか?」などのバランスを考えながらしないと全然似合わない。実は、市販じゃ到底できない代物と考えてるんです。
それで美容師と仕事をしていく上で「カラーなら誰にも負けない」、という気持ちを持ち続けて仕事していきたいと思い名づけました。そのおかげかわかりませんが、僕の担当する女性の7割以上がカラーをしてくれてます。感謝です。
お客様を美しく魅せるためにハマったこと
ー今、何に没頭していますか?没頭して良かったことやその逆はありますか?
今は、カメラにハマってます。自分でカットしたお客様をモデルにして写真を撮ってます。カメラマンに任せるのが一番いいかもしれないんですけど、なんでも自分でしないと納得しない性格みたいです。
初めは、撮影をすると言っても道具も何も無いところからスタートでした。お金を貯めてカメラを買って小道具はホームセンターで買って手作りでいろんなものを作りましたね。撮影という環境を作るところからのスタートでした。
不思議とカメラをやりたいという気持ちに没頭しているせいか全然大変とは思いませんでした。そして、やっと環境が揃ってから撮影をするもんですから楽しくて楽しくてしょうがなかったです!都心部に行けば撮影する環境なんてあるのが普通かもしれませんが、ゼロから初めて環境を作る喜びを知れたことは自分にとって、とても勉強になりました。
肝心の撮影なんですが、カメラを通すと不思議と肉眼で見る世界とは別の世界が見えるんです。レンズを通すことによって女性としての魅力が増したりするんですよ。笑顔や怒った顔、困った顔などその一つ一つが本当に素敵に見えるんです!
もっとこの人の隠れた魅力を引き出したいと思いながら、不慣れですけど撮ってます。たったレンズというガラス越し見るだけで自分がこんなにもカメラに没頭するとは思いませんでした。
まぁ、それでも難しいところもあるには、ありましたね。自分と周りとのスタッフに撮影に対するモチベーションの違いをものすごく感じました。年齢も違うし性別やなりたい美容師像も違うからしょうがないかもしれません。
僕がいろいろ撮影の準備をしている時に周りのスタッフは、「冷めた目」で見ているんじゃないだろうか?「自分勝手と思われている」じゃないだろうか?と気になることもしばしばありました。結局、僕の思い過ごしでしたけどね。まだまだ未熟ですね。
何かをカタチに残すために
ー今後チャレンジしたいことを教えてください。
今は、美容師や地域の人を巻き込んで何かカタチとして残る事をしたいと思ってます。僕の住んでいる飯塚という町には才能のある人がたくさんいるんです!!8年住んでいる僕が言うので間違いないです!((笑))
撮影したくてもできる環境にない人や、せっかくオシャレをしても浮いてしまってる人、絵の才能がある人、もっと自分の個性を出していきたい人とタッグを組んで10年後20年後、「大変だったけど挑戦して良かったな!」と思えるようにしたいです!
そのためにはいろんな人と交流を持って自分をもっともっと磨いていくつもりです。失敗してもいいから挑戦することを大事にしたいです!!考え方が甘いと思われるかもしれませんが、やらなくて後悔するぐらいなら失敗して反省した方が前に進めると僕は思ってます!
ー宇井さん、ありがとうございました!「カラーの申し子」というキャッチコピーを聞いたら「ぜひカラーをお願いしたい」と思う方が多いのは納得です。そしてヘアスタイルを整えて、美容院帰りの一番いい状態で撮ってもらえるというのは、女性も男性も嬉しいですね!今後新しい活動も始められるということで楽しみにしています!TIMEZ編集部