「大切なのは 熱狂的状況をつくり出す事」、NUDE ARTIST(ヌードアーティスト)TAKEHIROさんインタビュー【TiMEZ インタビューVOL.11】

TAKEHIROさん

TiMEZ Interview

クリエイターやアーティスト、CEOなど、何かに没頭している人、夢中になっている人をインタビューしていく企画【TiMEZ Interview】。彼ら、彼女らは、なぜそれに没頭し、何を得たのか。そして、これから何にチャレンジしていくのか、語ってもらった。

予期せぬ病気に襲われた時、あなたはどう対応しますか?

きっと若いうちは病気になることを想像することがないので、突然の病に塞ぎこんでしまうかもしれません。元気だった時の生活がいかに幸せだったかと、過去を振り返ることもあるかもしれません。

でも神さまは「乗り越えられる試練」しか人に与えないと言います。今回は、急性の難聴というハプニングがきっかけで、新しい世界に没頭することになったTAKEHIROさんにお話をお伺いしました。

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今回お話を伺った方

TAKEHIROさん

〜プロフィール〜

1979年 4月1日生まれ。
高校卒業後 北海道美容専門学校通信科に入学。札幌市内のヘアサロンに入社。

市内数店舗で店長 マネージャーを経て、2009年札幌市内中心部にて自身30歳の誕生日に独立開業。2016年現在 オーナー兼 トップスタイリストとして活躍する傍ら、2015年からNUDE ARTISTとして「人の持つ本来の美しさ」を追い求め、アート作品を創り始める。

突然のハプニングに襲われて

ーなぜ、NUDE ART(ヌードアート)を始めたのでしょうか?

僕はとにかく「人」を綺麗にすることが大好きなんです。

美容師になって、人を美しくすることに携わるようになってから 今年でもう19年目になるんだけど、やっぱり快感なんですよ。目の前の人が自分の力で綺麗になるっていうのが。

子供の頃から 何かしら物を創るのは好きで、今じゃ店の内装なんかも自分でやってますけど、全然これには敵わない。僕は髪を切るっていうのは相手の人生の1ページを切り取るって事でもあると思うんです。大袈裟じゃなく。

最近だとスマホなんかでバンバン写真撮るじゃないですか?で、想い出をいつでもどこでも すぐに見返す事が出来て、SNSで他人と共有したりも出来る。

もしも その時に写ってる自分の髪型が変だったら最悪だし (まぁ笑い話くらいにはなるかも知れないけど) 、逆に、 髪型がメチャクチャ可愛かったら その想い出ももっともっと良いものになるんじゃないかなぁと。そんな風に誰かの人生の一部に関われたらなと、本気で思ってるんです。

それくらい人を綺麗にする事に価値や魅力を感じていて、それがもっと、自分にしか出来ないやり方で表現出来たら最高だろうなぁ。 と昔から思ってはいたんですが、実は 二年前に突然 急性の難聴になって左耳が聞こえなくなったんです。

最初はただの耳鳴りみたいなもんかなぁと軽く考えていたんですが、数日経っても症状は悪化するばかりで…。もちろん、病院にも通院しましたが 耳の病気というのはなかなか治療も難しいみたいで。

今 (2016年現在) は日常生活に支障はない程度まで回復しましたが、当時は 本当に外を歩くのでさえ困難でした。

表現するのはとても難しいですが、 片耳だけにイヤホンを入れて ボリュームを最大にしてる感じ、というか。24時間頭の中で周りの音が反響して、聞こえないのか それとも聞こえ過ぎてるのか それさえ分からなくて…。大好きな仕事でさえ手につかなくなってしまったんですよね。

お客さんとの会話はおろか、ドライヤーの音、シャンプー中のシャワーの音、何から何まで もうとにかく音という音が不快でたまらなくて 一種の「鬱」というか、 完全に塞ぎこんじゃって ネガティヴな発想しか出来なくなったんです。

「もしかしたら一生このままなのかな…。」

「あぁ..オレの人生ってこんなもんなのかな。」

「明日朝起きて 本当に何も聞こえなくなっていたらどうしよう。」

毎日そんな不安感で一杯でした。

それは、たった一言からはじまった

そんな状態で二ヶ月くらい経った頃、ピカソの版画展がPARCOでやっていたので なんとなく行ってみたんですね。僕は子供の頃から童話や絵本、絵画の持つ世界観がずっと好きだったので、まぁどんなもんかなと思って入ってみたら そこは流石ピカソ。さっぱり理解出来ませんでした。笑

ひと通り見終わって、最後のコーナーに「ピカソからのメッセージ」というのがあったんですが、 要は ピカソが残した名言なんかが おみくじ形式で 自分宛てへのメッセージになっているということで 僕も一枚引いてみたんです。

「大切なのは 熱狂的状況をつくり出す事だ。」

僕の引いた 小さな紙には そう書かれていました。

同じ物を何百人も引いたとは思います。それでも当時の僕にとって たったその一言がどれだけのものだったか。今でもその時の事を覚えていますけど、本当に雷に打たれたかのように、完全に自分の中で何かが音を立てて変化した瞬間でした。

「もっともっと 自分だけの何かを表現したい。」

漠然と、でも なにか得体の知れないエネルギーの塊みたいなものがふつふつと湧いて来て、それまで塞ぎこんでいたのが嘘のように、 いてもたってもいられなくなったんです。それからはもう、家具作ったり インテリア作ったり、ちょっとでも興味があればなんでもやってみて 自分が熱狂出来る場所を探すようになりました。

小さなきっかけからヌードを撮ることに

ある時、仲のいいダンサーのお客さんを担当してた時に なんとなく閃きで 「今度ヌード撮ってみない?」って聞いたんです。そしたら なんと二つ返事で「へぇー、いいですよ?」って。自分で言い出しといてなんですが、ビックリしましたよね。「ウソでしょ?オレただの美容師だよ?」って 笑。

それで、以前遊びで買った APS-Cの一眼レフがあったんで 全然カメラの知識もないまま 勢いでやってみようってなったんです。モデルも素人なら、撮る方も素人、そして機材もロースペックっていう信じられない話ですけどね。

数日後、 自分の店をスタジオ代わりにして撮影しました。当然ですが、お互い 何がどうなるか勝手も分からないままで。

初めて人の「裸」にファインダーを向けて シャッターを切った時、「人って こんなに綺麗なのかよ…。」って正直、鳥肌が立ちました。あの瞬間の事は一生忘れないと思います。それまで経験した事のないような感情に襲われて、なんか 相手も自分も「生きてるんだな。」って心底思ったんです。

もう 無我夢中でピントがブレようが シャッターを切りまくって、その日は500枚くらい撮ったんですけど、撮り終わった写真を恐る恐る モデルさんに確認してもらったら…

「これ、本当に私ですか…?」って。「自分の身体をこんなに綺麗に撮ってもらえるなんて嬉しい!」って 撮らせてもらった僕よりもモデルさんの方がメチャクチャ喜んでくれたんです。

その瞬間、僕は自分が 何故 美容師を続けてきたのか 理解したような気がして。

それからですね。歯車が動き始めたのは。

悪い事があったとしても、比べる比ではない

ーNUDE ART(ヌードアート)を始めて良かった事や、その逆はありますか?

良かった事ばっかりですね。本当に。

今はだいたい1〜2ヶ月に一回くらいのペースで、なるべく毎回 新しいモデルさんに協力してもらいながら作品創りをしているんですが、モデルをやってくれた人が 必ず喜んでくれるんです。勇気を出して本当にやって良かったって。

僕はプロのモデルさんを撮った事もないし、分からないけれど、「素人」 というか 本当にごくごく一般の仕事をされている方が、恋人でもない人間の前で「裸」になるって 普通の事ではないじゃないですか。

で、僕自身もプロのフォトグラファーでもなんでもない。いまだに不勉強でカメラの事も全然 分かってないし。それにも関わらず 僕のワガママに付き合ってくれて、喜んでくれる。悪い事や辛い事があったとしても 比べる比ではないですね。そこは。

人間本来の美しさを世界へ

ー今後、チャレンジしたいことを教えて下さい。

当面の目標としては もっと作品を増やして東京で個展を開きたいと思っています。欲を言えば海外でも。

ただ、それにはとにかく継続が必要なので、落ち込むことがあったとしても やめないことが一番の目標ですね。

人によって感性なんてそれぞれですから、今の時代背景で「ヌードアート」と「ポルノ」の線引きって凄く難しいのかも知れませんけど、それでも僕は 誰もが本来持っている 「美しさ」っていうものを自分の作品を通して、 1人でも多くの人の人生の一部を切り取れたらいいなと思います。

ーTAKEHIROさん、ありがとうございました!これまでのハプニングからヌードアートに目覚めるまでのお話に、とても惹きこまれました。大変だったと思いますが、TAKEHIROさんのアート作品を見ていると、新しい才能が生まれるための予兆だったのではないかと思うほどです。「大切なのは 熱狂的状況をつくり出す事だ」、この言葉に私たちTiMEZ編集部も心を打たれました。これからもお互いに、熱狂的な何かに没頭していきましょう!

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