これほどさらりと壮絶な過去を話す人も珍しい。
苦しんでる時には人に話せないことがあるし、絶頂の時には感謝を忘れてしまうこともあります。そして、良いことも悪いことも、自分の中で消化し終わったからこそ、言えることもあるのかもしれません。
様々なことを経験されてきた 絵描き ゴトウヒデオさん のお話は非常に興味深く、共感できることや学べることが多くあります。ぜひ皆さんに読んでいただきたいインタビューとなりました。
TiMEZ Interview
クリエイターやアーティスト、CEOなど、何かに没頭している人、夢中になっている人をインタビューしていく企画【TiMEZ Interview】。彼ら、彼女らは、なぜそれに没頭し、何を得たのか。そして、これから何にチャレンジしていくのか、語ってもらった。
今回お話を伺ったアーティスト
➤絵描き ゴトウヒデオさん
1975年 6月2日北海道札幌市自衛隊真駒内病院で生まれる。帯広工業高校卒業後 千葉県佐倉市のジュースメーカー東京めいらく(スジャータ)千葉工場に入社。ジュース製造ラインのマシンオペレーターを任される。
高校生の頃から通い始めたクラブ、の魅力にとりつかれていたので休日は千葉市内、都内のクラブに入り浸りdeepな音の世界とそれにまつわる人々の虜になっていく。部屋(社員寮)にターンテーブル二台、でかいスピーカーを設置し、6畳一間のクラブを作り夜な夜な同僚、先輩、友人を集めては朝までハングアウトしそのまま出勤するという生活を送る。
労働中の暇な時間を見つけては仕事用の書類の裏に絵を描き始める。そんなこんなで絵を描き続けていると工場に来ていたトラックの運転手さんに絵を依頼されたり、通っていた千葉市のクラブのフライヤーの絵を任されるようになり、起きている時間のほとんどを絵に費やすようになる。
藤子F不二雄先生みたいな話ですが、労災で右手の指を失いかける事故に遭い、このままこの工場に入ればまた事故に遭い絵が描けなくなると思い、退社を決意し絵描きになろうとキメる。ゴトウにとってはこの会社員をしてる6年間が絵の専門学校に通っていたようなものだった。
ー今、何に没頭していますか?
ズバリ 絵ですね。 何にでも描くようにしています。
カスタムペイントスニーカーに没頭中。欲しい絵柄のスニーカーが無かったので自分で描くようになってから思い切りはまりましたw
5歳の頃からスーパーのチラシの裏に描き始めた落書きが原点で、自分をめいいっぱい表現できるのは絵でした。小学生低学年の頃はスケッチブックとお弁当を持って風景画を描きに札幌市内をぐるぐるしてました。(一人で)放任してくれた親に感謝してます。すすきのが楽しかったですw
喋るのがあまり得意ではないので絵で感情を伝えようという思いはあります。あらゆる画材を駆使して絵画、木材に、人体に(皮膚にボディペイント)、カスタムペイントスニーカー作り、ガスボンベのペイント、三角コーン、布、カバン、スケボー、各種家具、ティーシャツのデザイン、クラブイベントでのライブペイント、tattooの下絵作りetc…命がけでやってます。食べ物以外に描いていますw
強烈で一度見たら忘れないような、インパクトを与えるような作品を作るように心がけています。描いてる時は頭の中は真っ白ですね。観ていただける方の五感に刺激を与えたいですね。棟方志功さんみたいな姿勢/ポーズで描いています。すごく好きですあの姿勢!
ー絵に没頭して良かったことや、その逆はありますか?
よかったこと。。。。
幸運なことに会社員を辞めてすぐにイラストレーターとしてデビューできまして、全国誌の雑誌の表紙を任され、西葛西にある映画の専門学校の10メートル以上の看板や壁画、中釣り広告、100メートルのフロアイラスト、各種雑誌の連載、寝る間もなく絵を描いてました。
ビジネス書籍の挿絵は月に400枚以上は描いていましたね。一人工場状態でしたw会社員では経験できないような出会いや経験が絵描きになって出来ましたね。
逆は恥ずかしいことに、若くして大きな仕事を任されてギャラもたくさんもらえて天狗になってたんだと思います。ちやほやされ光と闇。案の定、生活がすさみましたw酒に溺れ、裏切ったり裏切られ包丁で刺されそうになったり!
鬱病になり、治療薬の影響で廃人寸前になり、あーこりゃだめだ右ストレートからの返しの左フック!多額の借金を背負い借金取りから逃げ回る日々。。負の連鎖は続き、住む家も無くなり、逃げ終えた土地で、ただ焚き火だけをしてるようなテイタラクな精神状態の毎日を送り。。。
業界から完全に干され仕事もなく その日食べれるだけのお金をゾンビのように求める日々。今振り返ると”どん底”な日々でしたね。図に乗った自分への人生における強烈なお仕置きタイムだったと思っています。いい人生勉強になりましたよ。
「どん底を舐めた経験が俺を働かす」 ILL-BOSSTINOの言葉に共感。好きな歌詞です。
転機はROSES チャリティーアートエキシビジョン2009への絵画の出展のお誘いからです。絵は即日完売。追加の発注が来るまでに絵が評価され画家/絵描きとして認知されました。その日を境に現在に至るまで絵描きとして絵での表現と絵の制作を休まず行っています。すごい幸せに生きています。
今はおごらず。謙虚に。ハードコアに。をモットーに。矛盾していますか?w
ー今後チャレンジしたいことを教えてください。
tattoo、個展の充実、世界進出です。tattoo文化が大好きなんです。和彫りも洋彫りも問わず研究しています。
アメリカ西海岸のtattoo artistのMr Cartoon氏に彫っていただいてそこからハマりましたね。cypress hillの大ファンだったのでそのアートワークをしている方に出会えてラッキーでした。現在は木更津mad tattoo studioの彫り師ジョニーさんにお願いしています。尊敬してる先輩です。自分の皮膚を使って彫れる部位は彫りながら勉強中です。
初個展は2014年にやらせていただいてすごく楽しかったので、今後もたくさん開催したいです。そのために絵画を描き貯めています。海外のお客様もsns経由で依頼が来ますが、各国を回ってアートショーや、でっかい壁画を描きながらtattooも彫りながら”旅”をしたいですね。
人生は一度きりなので悔いのないように描きまくり生きたいです。
ps 世界各国の肉料理も食べたいですw
ーゴトウヒデオさん、ありがとうございました!要所要所のタイミングで目を丸くしてしまうお話が多々ありました。もしかしたら、今一番いいタイミングでインタビューができたのではないかと思うほどです。ぜひ日本のアートを世界へ広げていってほしいです!今後も応援しています!TiMEZ編集部
■絵描き/ゴトウヒデオ
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