チェコガラスボタンの繊細なデザインとその魅力について

チェコ人は「黄金の手を持つ」と言われるほど手仕事を得意とし、繊細なデザインを古くから作り上げてきました。

その中でも、北ボヘミア地域はチェコの伝統産業のひとつ「ボヘミアガラス」などをはじめ、ガラス製造工場や工房などが多く存在した地域です。

今でもガラス作りの伝統をそのまま継承している照明器具ブランドやガラス製オリジナルビーズなどの製造メーカーがあるそうですよ。

そんなチェコの伝統産業の1つ「ガラスボタン」は、その独特なデザインに日本でもコアなファンが多いんです。

今回は、チェコのガラスボタンを「ヴィンテージ」と「現行品」にわけてその違いや歴史について触れてみようと思います!

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手仕事がオリジナリティを生むガラスボタン

専用の「ペンチ」と「押し型(ボタンの型)」。ヤブロネツ・ナド・ニソウにある「ガラス&ジュエリー博物館」で撮影。

ガラスボタンの作り方は非常にシンプルで、基本的には溶かされたガラス棒を押し型にはめ専用のペンチでギュッとするイメージです。(もちろん、そんな簡単な話ではないと思います。)

しかし、その裏に隠された繊細な手仕事があってこそなせる技なんですが、その技はデザインの基本となる「押し型」にあると考えられます。

そして、この「押し型」はその工場や工房の独自のデザインで、唯一無二の技術なんだとか。

まさに「押し型」の掘りで勝負していた時代があったということでしょう。

マットな質感が特徴的なヴィンテージチェコガラスボタン(左:約2.3cm 右:約1.8cm)

上の写真は、1800年代のチェコガラスボタンです。2cm前後の大きさの中に、非常に細かいデザインが施されています。

工場や工房が廃業してしまうと、その押し型も世の中に出てくることはほとんどないそうで、新しく同じデザインのボタンが作られることもないんだとか。

ヴィンテージと呼ばれるガラスボタンには、現在では使用されていない「押し型」「素材」を考えると、その貴重さも伝わりますね。

ガラスボタンのデザイン

押し型の繊細なデザインを生かしたチェコのガラスボタンは、様々な加工が施されさらにオリジナリティ溢れるデザインへ変わっていきます。

いくつかのバリエーションをご紹介します。

工場の加工サンプルから見るガラスボタン

上の写真は、一般的には販売されていない工場の加工サンプルです。

ベースとなる「白(bílá)」「黒(Černá)」のボタンに対し、「DEKOR(装飾/加工)」が8種類用意できるよ!という内容らしい。

単色ではなくカラーメッキを使用することで、光沢のある仕上がりになっているようですね。

このボタンも、ベースのボタンは同じで違った塗装を施しているもの。

塗装の種類で印象がものすごく変わるので、同じ押し型から本当に色々なデザインのボタンが作れるんだろうなぁ。

現在は加工技術も進み、昔では表現できなかった色合いなども増えてきているそうです。

押し型のデザインを生かしたガラスボタン

先ほどもご紹介したヴィンテージガラスボタンのデザイン違い。

押し型のデザインを生かし、マットな仕上がりになっているのが特徴的ですね。押し型の細かい模様までしっかりと再現されているのがよくわかります。

質感としては、写真で見る以上にマットな仕上がりで「オレオクッキー」を想像していただければと。

色付けされたガラスボタン

手塗りで色を付けているガラスボタン。

同じ押し型でも100%同じ色付けは難しい上に、月日が経つことで色褪せ方にも違いが出て個性に変わります。

特に、現行品ではないガラスボタンは、経年劣化そのものがデザインとして魅力的なことも多いと言います!

立体感のあるガラスボタン

例えばこのガラスボタンは、ベースとなるのは「透明で厚みのあるボタン」で、そこに色を付けています。

斜めから見るとよくわかりますが、ただ厚みがあって立体的なわけではなく「ボタンの内側に奥行きのある立体感」と言えば良いでしょうか。

これは、ボタンの底に金色の塗装を施すことで表現されていました。

透明なボタンの上下から色をつけることで、こんなデザインが完成するとは・・・!

こちらのボタンは、模様がさらに細かくなり色合いも華やかに。底の部分に、色を付けさらにメッキ加工することでキラキラする仕上がりになっているそうです。

ボタンに厚みがあるので、斜めから見ると光の屈折で色が少し変わるのも特徴的ですね!

宝石を装飾したガラスボタン

宝石と書きましたが、厳密には綺麗にカットされた石やガラスになります!

押し型で作った窪みの部分に別のガラスや石をはめ込んでいて、宝飾品に近い仕上がりになっています!

まとめ

チェコのガラスボタンの最大の特徴は、ヴィンテージ品でも現行品でも繊細なデザインが施されていること。

とはいえ、チェコの伝統産業の1つではあるものの工場や工房は減り、職人の高齢化もかなり進んでいるようです。

安価な機械生産や人工材料が使用されることも増え「あえてガラスボタンでなければいけない理由」は減り、「伝統」以外の存在意義がなくなりつつあります。

これは、日本の伝統産業でも言えることで、どうやったら古き良き伝統産業を生かしていけるのか考えてしまいますよね。

日本国内にもチェコガラスボタンのファンがいるように、各国の伝統産業をミックスさせることで色々な発展があると良いですよね。

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